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チョコレートドーナツが大好きなキャニーには、特別な場所がありました。
それは町の小さなお菓子屋さん。
店を切り盛りするおばあちゃんは、美味しいチョコレートドーナツを作る名人でした。
そこのドーナツを食べると、魔法のようにキャニーはいつも幸せな気持ちになりました。
 
ある日、キャニーがお菓子屋さんの裏庭で
ドーナツが焼けるのを待っていると、
小さなてんとうむしと出会いました。
てんとう虫は、キャニーの指先に止まって、
手のひらでくるくると踊って、キャニーを笑わせてくれました。
そして、裏庭に咲くかわいいお花や虫たちのことを紹介してくれました。
 
キャニーは、おばあちゃんのお菓子屋さんを訪れるたびに、
緑いっぱいの裏庭でてんとう虫と遊びました。
てんとう虫の小さな翼が太陽にキラキラと輝くのを見るたびに、
世界にはまだ見ぬ美しいものがたくさんあると感じました。
 
しかし、突然のある日、てんとう虫が姿を消してしまったのです。
庭中を探しましたが、てんとう虫はどこにも見つかりませんでした。
キャニーはとても寂しい気持ちになりました。
 
キャニーが落ち込んでいると、お店の窓からおばあちゃんの声がしました。
「ドーナツが焼けたわよ〜!」
ふわっとチョコレートのいい香りがしました。
 
大好きなおばあちゃんのドーナツを食べて、キャニーは嬉しくなりましたが、
やっぱり寂しい気持ちがありました。
そんなキャニーの様子を見ておばあちゃんが優しく声をかけました。
「キャニー、寂しがらないで。てんとう虫はは幸せを運ぶ虫なの。
幸せの輪を広げるために、次の場所に幸せを届けに行ったのよ。」
 
おばあちゃんはそう言って、キャニーを優しく抱きしめました。
 
「楽しかった時間や思い出は決して消えないわ。どこにいても、私たちの心は一緒なの。
幸せっていうのは、目に見えない繋がりや時間の中にあるのよ。」
 
キャニーは、心があたたかくなるのを感じました。
そして、てんとう虫のあたらしい冒険にワクワクしました。

「てんとう虫は、次はどこへ幸せを運びに行ったのかしら♪」